CloudflareのCMS「EmDash(エムダッシュ)」が話題です。公式ブログはこれをWordPressの「精神的後継」と紹介しています。
この記事は2026年10月時点の情報です。CMS(記事を管理して公開する仕組み)の知識が浅い人向けに、特徴と始め方をまとめます。
情報
- EmDashはAstroというWebサイト作成ツールに、管理画面とAPIを足すCMSです
- 本体は無料のMITライセンスで、手元のパソコンだけでも試せます
- WordPressのテーマやプラグインは動かず、AstroとNode.jsの知識が前提です
EmDashとは
EmDashは、Cloudflareが2026年4月1日に発表したCMSです。発表時はv0.1.0のプレビュー版で、9月28日に1.0の安定版が発表されました。
4月1日の公開だったため冗談では、という声もありましたが、1.0のブログで冗談ではないと明言されています。
GitHubの説明文では「Astroベースのフルスタック TypeScript CMS」とされています。WordPressの発想(拡張性、管理画面、プラグイン)を、サーバーレスで型安全な土台に作り直したものです。
WordPressとの違い
| 項目 | WordPress | EmDash |
|---|---|---|
| 言語 | PHP | TypeScript |
| 見た目の作り方 | テーマ | Astroのコンポーネント |
| 拡張 | プラグイン | プラグイン(隔離型あり) |
何が新しいのか
初学者向けに、気になる点を4つに絞ります。
- プラグインの隔離: 公式は「WordPressの脆弱性の96%はプラグイン由来」と述べ、隔離で解決する立場です。これは公式の主張で、第三者の検証は確認できませんでした
- Astroで見た目を作る: Astroは軽いサイトを作るツールです。EmDashは管理画面を足す役割で、ビジュアルなページビルダーではありません
- Cloudflare上で動く: サーバーを自分で用意せず、Workers(プログラムの実行環境)、D1(データベース)、R2(画像などの保存場所)を使います
- AI連携: 各サイトがMCPサーバー(AIが外部の道具につながる窓口)を内蔵し、CLIとAgent Skillsも提供されます
隔離型プラグインは、宣言した権限の操作だけが許される仕組みです。テーマはデータベースを一切操作できないと公式が述べています。
手元で試す手順
公式ドキュメントの手順では、Node.js 22.22以降が必要です。SQLiteとローカル保存で動くので、クラウドのアカウントは要りません。
npm create emdash@latest
cd my-emdash-site
npm run dev 最初のコマンドで、プロジェクト名、デプロイ先、テンプレート、パッケージマネージャを聞かれます。
起動後に http://localhost:4321/_emdash/admin/ を開くと、セットアップウィザードが始まります。パスキー(指紋や顔認証でのログイン)を登録すれば管理画面に入れます。
Cloudflareに公開するには
GitHubのREADMEにある「Deploy to Cloudflare」ボタンが手軽です。手動なら次のコマンドで公開します。
pnpm build
pnpm wrangler deploy 費用
EmDash本体は無料です。公式ドキュメントによると、新規プロジェクトはWorkersの無料プランでデプロイされます。ただし隔離型プラグインを有効にしない場合に限ります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| EmDash本体 | 無料(MIT) |
| Workers無料枠 | 1日10万リクエスト、CPU時間は1回10ms |
| 隔離型プラグイン | Workers Paid(月額5ドルから)が必須 |
D1とR2の個別料金は、今回の調査では確認できませんでした。使う前に公式の料金ページを見てください。
向く人と向かない人
向いている人
- Astroでサイトを作った経験がある
- TypeScriptやNode.jsを触れる
- Cloudflareで運用をまとめたい
向いていない人
- コードを書かずにブログを始めたい
- 今のWordPressのテーマやプラグインを使い続けたい
注意点
- WordPressのテーマとプラグインはそのまま使えず、Astro側で作り直しになります
- EMDASH_ENCRYPTION_KEYを失うと、保存済みのプラグイン秘密情報を復号できません。公式がバックアップを促しています
- 0.xから1.0への更新は、非推奨APIの削除で手作業が必要な場合があります
世間の反応
4月1日の発表を扱ったHacker Newsのスレッドは、703ポイント、504コメントでした。
好意的な声は、名前がうまい、Workers上のCMSを待っていた、というものです。懐疑的な声は、WordPressの強みはPHPとエコシステムで、その点は解決していない、というものでした。
よくある質問
WordPressから引っ越せますか?
記事などのコンテンツは、WXRファイルか公式のExporterプラグインでインポートできます。コメントやメニューの移行にはExporter 1.2.0以降が必要です。テーマとプラグインは作り直しです。
無料で使えますか?
本体は無料で、新規プロジェクトはWorkersの無料プランに載ります。隔離型プラグインを使うなら、月額5ドルからのPaidプランが必要です。
Cloudflareのアカウントがないと試せませんか?
公式の手順はSQLiteとローカル保存で完結するため、アカウントなしで試せます。
まとめ
- EmDashはCloudflare発の、Astroベースの新しいCMS
- 2026年9月28日に1.0が発表され、本体はMITで無料
- 手元ならnpm create emdash@latestから試せる
- WordPressのテーマとプラグインは使えず、コードを書く人向け
すでにAstroなどで静的サイトを運用している人は、管理画面での更新が必要になったときに検討すると良さそうです。



